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17スレ目ログ ____ ________________ 17-10 ソーサ(14-457) スタートライン 17-21 17-019 ローンソ×ラヴリーミトンフェア 1 17-32 つばさ(4-151) 素敵な恋のかなえかた 11 小さな恋が終わるとき 17-47 ベイオウーフ(16-228) 二人の朝 17-53 蒼(4-816) My... 6 My saturday 17-64 17-063 とある少年の猛烈恋慕 1 17-81 夢旅人(15-189) とある男女の恋愛生活 4 木漏れ日 17-89 夢旅人(15-189) とある男女の恋愛生活 4 木漏れ日 17-104 つばさ(4-151) 素敵な恋のかなえかた 12 小さな恋が終わるとき 17-133 い~む(16-135) 未来からの来訪者 8 ~3rd day かみまこまい~ 17-152 Mattari(14-367) とある異世界の上琴事情 新約編 5 EPISODE 3 17-164 saku(17-163) 小ネタ ●Rec 17-181 ベイオウーフ(16-228) 『好き』だから…… 7 第五話『落涙』 下 17-193 ソーサ(14-457) とある少女の悪巧み 17-209 catal(13-887) 小ネタ おんぶお化け 17-213 夢旅人(15-189) とある男女の恋愛生活 5 Always_On_My_Mind 17-224 蒼(4-816) Presented to you 4 ―amnesia― 17-237 夢旅人(15-189) 小ネタ June bride ~いつまでも愛してる 17-243 Mattari(14-367) とある異世界の上琴事情 新約編 6 EPISODE 3 17-255 17-254 小ネタ 白い友人達の優しさ 17-267 い~む(16-135) 未来からの来訪者 9 ~4th day まこてんしょ~ 17-283 蒼(4-816) おすそ分け 17-290 17-063 とある少年の猛烈恋慕 2 ~君の瞳に痺れてる~ 17-305 Mattari(14-367) とある異世界の上琴事情 新約編 7 EPISODE 3 17-312 Mattari(14-367) とある異世界の上琴事情 新約編 7 EPISODE 3 17-320 ぐちゅ玉(1-337) Wheel of Fortune ~運命の輪に導かれ 17-336 ソーサ(14-457) とある少女の悪巧み―シリアスver― 1 17-343 ソーサ(14-457) とある少女の悪巧み―シリアスver― 2 17-354 い~む(16-135) 未来からの来訪者 10 ~外伝 とある夫婦の育児記録~ 17-381 ソーサ(14-457) 上琴の戦い 19 上琴VS絹旗 17-382 ソーサ(14-457) 上琴の戦い 20 上琴VS麦野沈利 17-389 ウルルフ(17-388) 天体観測 Northern_CROSS. 17-402 蒼(4-816) Presented to you 5 ―amnesia― 17-412 夢旅人(15-189) P.S._I_LOVE_YOU 17-428 Mattari(14-367) とある異世界の上琴事情 新約編 8 EXTRA EDITION_1 17-440 月見里(12-676) いちゃいちゃ……? 17-449 17-063 とある少年の猛烈恋慕 3 ~今すぐキス・ミー~ 17-471 い~む(16-135) 未来からの来訪者 11 ~外伝 とある夫婦の育児記録2~ 17-480 小ネタ たいとるがないんだよ 17-483 ベイオウーフ(16-228) ポニーテール 17-492 17-491 上条さんを悩ませたかったんです 1 17-518 17-491 上条さんを悩ませたかったんです 2 17-521 蒼(4-816) Presented to you 6 ―amnesia― 17-535 17-063 とある少年の猛烈恋慕 4 ~エイント・ノー・リバー・ワイド・イナフ①~ 17-552 ソーサ(14-457) 御坂美琴の幸せ生活 17-565 夢旅人(15-189) とある二人の七夕物語 17-578 ソーサ(14-457) 上条当麻の幸せ生活 17-591 Mattari(14-367) とある異世界の上琴事情 新約編 9 EXTRA EDITION_2 17-599 くまのこ(17-598) とある不幸な都市伝説 1 1日目 前編 17-610 い~む(16-135) 未来からの来訪者 12 ~4th day まこてんしょ~ 17-621 くまのこ(17-598) とある不幸な都市伝説 2 番外編 上琴裁判~蘇る上琴~ 17-624 くまのこ(17-598) とある不幸な都市伝説 3 1日目 後編 17-628 くまのこ(17-598) とある不幸な都市伝説 3 1日目 後編 おまけ 17-656 17-063 とある少年の猛烈恋慕 5 ~エイント・ノー・リバー・ワイド・イナフ②~ 17-672 17-019 ローンソ×ラヴリーミトンフェア 2 17-685 蒼(4-816) Presented to you 7 ―amnesia― 17-698 夢旅人(15-189) 運命の先にあるもの ~Let_Love_be_Your_Destiny 17-718 ソーサ(14-457) 上琴の戦い 21 上琴VS固法 黒妻 17-723 蒼(4-816) Presented to you 8 ―beginning・一二月三日①― 17-735 ソーサ(14-457) 上琴の戦い 22 上琴VS小萌先生 17-736 ソーサ(14-457) 上琴の戦い 22 上琴VS吹寄 17-741 ソーサ(14-457) 上琴の戦い 23 上琴VS半蔵 17-742 ソーサ(14-457) 上琴の戦い 23 上琴VS黄泉川 17-747 くまのこ(17-598) とある不幸な都市伝説 4 2日目 前編 17-756 ソーサ(14-457) 上琴の戦い 24 上琴VS通行止めVS浜滝 17-759 ソーサ(14-457) 上琴の戦い 24 上琴VS削板軍覇 17-764 くまのこ(17-598) とある不幸な都市伝説 5 2日目 後編 17-783 ソーサ(14-457) End of lover relation 17-802 夢旅人(15-189) だから……だから…… 17-820 ソーサ(14-457) とある少年の帰還記念祭 1 第1話『目覚め』 17-834 くまのこ(17-598) とある不幸な都市伝説 6 3日目 前編 17-844 ソーサ(14-457) とある少年の帰還記念祭 2 第2話『いざパーティ会場へ!』 17-862 ソーサ(14-457) とある少年の帰還記念祭 3 第3話『パーティ開始!』 17-881 ソーサ(14-457) とある少年の帰還記念祭 4 第4話『不幸な上条と幸せな美琴』 17-897 い~む(16-135) みこにゃんとみにゃかVer.2 17-912 びぃ ◆K7dCoes7VE 上条くんと美琴たん 17-922 ツキサカ(15-321) 切れた糸を繋いで 3 番外編 17-939 くまのこ(17-598) もし常盤台のお嬢様が初めからデレていたら 17-968 Mattari(14-367) うちあけ花火 17-984 くまのこ(17-598) もしレベル5の第3位が初めからデレていたら 17-988 くまのこ(17-598) 小ネタ 上と琴で上条さんあるある ▲
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24スレ目ログ ____ ________________ 24-013 幻影(23-724) とある二人は反逆者 9 第3章 ②本質が呼ぶ戦いと残された謎 24-023 幻影(23-724) とある二人は反逆者 10 第3章 ③入院とこれから… 24-034 piVSbPnx0(24-033) おめでとうを永遠に 24-042 幻影(23-724) とある二人は反逆者 11 第4章 ①大覇星祭開幕 24-049 くまのこ(17-598) レベル5について調査するだけの簡単なお仕事です 24-058 幻影(23-724) とある二人は反逆者 12 第4章 ②未来を見据えて 24-066 幻影(23-724) とある二人は反逆者 13 第4章 ③大覇星祭を終えて 24-088 コスモス(22-047) アレイスターの思惑 24-101 幻影(23-724) とある二人は反逆者 14 第5章 ①潮風の香り 24-104 幻影(23-724) とある二人は反逆者 15 第5章 ②恋と少女と生き方 24-108 幻影(23-724) とある二人は反逆者 16 第5章 ③神の右席 24-129 風花(19-114) みこにゃんの日常 はちっ! 2年前の… 24-139 さわわ(22-733) 決め手は隠し味 24-171 くまのこ(17-598) 小ネタ 無自覚なフラグ建築とそれに翻弄されるツンデレ 24-180 トワノハテ(23-319) 手を繋いで 24-197 さわわ(22-733) 小ネタ 誰も見ていなかった 24-209 幻影(23-724) とある二人は反逆者 17 第6章 ①衣替えの季節 24-214 幻影(23-724) とある二人は反逆者 18 第6章 ②ヒーローの敗北 24-246 幻影(23-724) とある二人は反逆者 19 第二部 序章 24-254 トワノハテ(23-319) とあるファミレスのバカップル 5 24-262 はりねずみ(23-141) 上条家の日常 1 思わぬ客人 24-275 幻影(23-724) とある二人は反逆者 20 第二部 第1章 ①魔術師の誘い 24-279 幻影(23-724) とある二人は反逆者 21 第二部 第1章 ②一端覧祭を終えて 24-280 幻影(23-724) とある二人は反逆者 22 第二部 第1章 ③幸せとは… 24-294 くまのこ(17-598) 御坂美琴のとある休日 24-300 幻影(23-724) とある二人は反逆者 23 第二部 第2章 ①これから先の目的 24-301 幻影(23-724) とある二人は反逆者 24 第二部 第2章 ②英国三派閥との接触 24-305 幻影(23-724) とある二人は反逆者 25 第二部 第2章 ③裏切り者 24-340 はりねずみ(23-141) ドキドキデート 美琴編 24-346 コスモス(22-047) アレイスターの思惑・続! 24-373 はりねずみ(23-141) ドキドキデート 上条編 24-383 風花(19-114) みこにゃんの日常 きゅうっ! 定期検診っ! 24-394 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 1 第一章 ベランダの少女~rail gun~ 24-401 トワノハテ(23-319) とあるファミレスのバカップル 6 24-425 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 2 第二章 明確なる敵~melt downer~ 24-434 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 3 第三章 つかの間の休息~teacher~ 24-442 トワノハテ(23-319) とあるファミレスのバカップル 7 24-449 くまのこ(17-598) 御坂美琴改造計画 24-456 コスモス(22-047) 大学で始まる恋の予感 24-469 トワノハテ(23-319) とあるファミレスのバカップル 8 24-484 幻影(23-724) とある幼馴染の幻想殺し 1 序章 ①過去の出来事 24-485 幻影(23-724) とある幼馴染の幻想殺し 2 序章 ②激闘の終わり 24-487 幻影(23-724) とある幼馴染の幻想殺し 3 序章 ③罪と不幸 24-489 幻影(23-724) とある幼馴染の幻想殺し 4 序章 ④再会 24-491 幻影(23-724) とある幼馴染の幻想殺し 5 序章 ⑤同棲開始 24-494 幻影(23-724) とある幼馴染の幻想殺し 6 第1章 ①虚空爆破事件 24-509 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 4 第四章 心の拠り所~imagine breaker~ 24-525 くまのこ(17-598) こぼれ話 4 超電目録こぼれ話 絶対能力進化実験 後編 24-537 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 5 第五章 壊れかけた何か~sisters~ 24-542 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 1 世界観 24-543 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 2 第1章(1) 24-552 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 3 第1章(2) 24-560 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 4 第1章(3) 24-569 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 5 第2章(1) 24-572 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 6 第2章(2) 24-581 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 7 第2章(3) 24-587 masa(24-539) (改訂前)とある科学の執行部員 8 第3章(1) 24-597 はりねずみ(23-141) 小ネタ 美琴の八百変化 24-601 masa(24-539) とある科学の執行部員 1 世界観 24-602 masa(24-539) とある科学の執行部員 2 第1章(1) 24-609 masa(24-539) とある科学の執行部員 3 第1章(2) 24-614 くまのこ(17-598) こぼれ話 5 超電目録こぼれ話 絶対能力進化実験 未公開シーン 24-621 紅蓮(24-620) 上条さんとミコっちゃんが超電磁砲S第一話見ました 24-637 masa(24-539) とある科学の執行部員 4 第2章(1) 24-640 masa(24-539) とある科学の執行部員 5 第2章(2) 24-649 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 6 第六章 全ての真実~radio noise~ 24-655 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 7 行間 24-658 くまのこ(偽)(24-657) 超電目録こぼれ話 絶対能力進化実験 アンソロジー 24-670 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 8 第七章 微かな希望~hope in hand~ 24-676 masa(24-539) とある科学の執行部員 6 第3章(1) 24-686 masa(24-539) とある科学の執行部員 7 第3章(2) 24-695 masa(24-539) とある科学の執行部員 8 第4章(1) 24-698 masa(24-539) とある科学の執行部員 9 第4章(2) 24-700 masa(24-539) とある科学の執行部員 10 第4章(3) 24-711 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 9 第八章 悪夢殺し~imagine breaker~ 24-721 コスモス(22-047) いちゃいちゃバカップル予備軍誕生!? 24-725 くまのこ(17-598) こぼれ話 6 超電目録こぼれ話 鉄橋は恋の合図編 24-737 ナナ氏(20-146) (無題)5 24-747 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 10 終章 始まりを告げる音~go to future~ 24-755 くまのこ(17-598) 抱き枕を抱くときは、部屋を暗くしてできるだけ人から離れて抱いてね 24-761 はりねずみ(23-141) とあるベランダの超電磁砲 11 後日談 24-778 はりねずみ(23-141) 小ネタ 傘 24-785 コスモス(22-047) 小ネタ のどかにのんびり 24-790 くまのこ(17-598) レベル5が立案した完璧な計画 24-796 はりねずみ(23-141) 小ネタ 夫婦 24-802 くまのこ(偽)(24-657) 上条美琴の禁書目録こぼれ話アンソロジー 24-827 はりねずみ(23-141) 16巻if ~あの時あの手を掴めたら~ 24-837 ツキサカ(15-321) 消えゆくあいつの背中を追って 2 24-854 ・・・(22-517) 被害者 2 白井 24-859 はりねずみ(23-141) 小ネタ クレーンゲーム 24-868 さわわ(22-733) 部屋訪問 24-876 くまのこ(17-598) 終章その後 先に辿り着いた者は 24-886 くまのこ(17-598) 小ネタ わたしのパパとママ 24-893 はりねずみ(23-141) 小ネタ お勉強の時間ですよ上条ちゃん! 24-897 我道 ◆XksB4AwhxU(24-896) 御坂美琴の消失 1 第1章 24-916 我道 ◆XksB4AwhxU(24-896) 御坂美琴の消失 2 第2章 24-932 コスモス(22-047) 小ネタ His uneasiness 24-937 風花(19-114) みこにゃんの日常 じゅうっ! ショッピング? 24-942 我道 ◆XksB4AwhxU(24-896) 御坂美琴の消失 3 第3章 24-955 はりねずみ(23-141) 小ネタ 時が過ぎて変わるもの 24-961 くまのこ(17-598) 好きなパターンを選んでみよう 24-970 我道 ◆XksB4AwhxU(24-896) 御坂美琴の消失 4 第4章 24-980 我道 ◆XksB4AwhxU(24-896) 御坂美琴の消失 5 第5章 24-993 はりねずみ(23-141) 白き大地での戦い 1 ▲
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55 名前:とある日常…投稿日:2007/11/12(月) 13 49 11 ID ??? かなり前に書いたネタなんで、シンとシュウトが出てきませんので悪しからず… 第一話「アルの日常」 こんにちは、アルです。 この間、キラ兄さんのお友達のラクスさんから黄色のハロを貰いました。 黄色のハロ… 家にも兄さん達の作ったハロが沢山居ます。 喧嘩をしないか心配だったんですが、穏やかに過ごしています。 ちなみに…黄色という色があまり好きじゃなかったんで、色を深緑色に塗り替え、名前はなんとなくビクザムにしました。 この名前は兄さん達には不評でしたが、学校のドズル先生には好評だったので、良しとします。 何日かこのビクザムと過ごしている内、僕は思いました。 もっと格好良くしよう! 以前、僕はよくバーニーと一緒に、ザクのパーツを拾って来て修理や改造のお手伝いをしていました。 バーニーのお手伝いをしている内に、なんとなく機械の仕組みとかが分かる様になってきました。 バーニーも、 「アル…お前、飲み込み早いな」 なんて誉めてくれたりで…( ///) そんな僕の中の改造魂?に火が付き、今部屋の中でビクザムを改造するところです。 幸い家の中には工具はもちろん、機械の部品やらジャンク品やら色々あるから助かってます。 56 名前:とある日常…投稿日:2007/11/12(月) 13 50 53 ID ??? 第二話「アルの構想」 まず、どう格好良くするか… そこでコウ兄さんの本棚からMSの図鑑を取り出す。 ざっと目を通す。 グフカスタムとかザクⅢとか気になった物はあったが、これだ!って言う目ぼしい物が無い。 MS図鑑を棚に戻すとMA図鑑を手に取る。 そこで気になるものを発見した。 アルのハロと同じ名前のビクザムだ。 「カッコイイー!!」 食い入るように眺める。そして疑問に思った。 「何で腕無いんだろ?腕ないとヒートホーク持てないのに…」 そんな疑問を心に残しつつ、そのままページをめくり、また気になる物を発見! 「これも格好いいなぁ。あぷさらす?って言うんだ……でも、こっちは腕どころか足も無い…」 ページをめくって行き全部見終えた後、MA図鑑を棚に戻した。 「中々いい物が無いなぁ……あ!そうだ!!」 思い出した様にMS図鑑を手に取った。 「確かここに良いMSあったような……これだ!!」 僕が見つけたのはザク頭のZガンダム。 「格好イイよなぁ。頭はザクで格好いいし、胴体がなんか高機動っほくて良いよなぁ…なんかカミーユ兄さんのZに似てるけど……でも…うん、良いよ!これ良いよ!!」 当初の目的を忘れ、本に見入ってましたアル。 よくあるよね? 片付けしてて、アルバムとか昔の本なんか見つけると見入ってしまって、仕事に手が付かない事ってwww 57 名前:とある日常…投稿日:2007/11/12(月) 13 54 15 ID ??? 第三話「アルとロラン」 やっと最初の目的を思い出した僕は、僕の周りを飛び跳ねているビクザム(ハロ)を捕まえ考える。 どう改造するか… アル「腕と足は必要だよなぁ……後は武器か…」 ビクザム(ハロ)「アル。オマエ、オレニナニスルキダ?」 アル「ビクザムをかっこよくするんだよ!」 ビクザム(ハロ)「オレハイマノママデジューブンカコイイ!」 アル「うるさいなぁ…大人しくしてろよ!」 ビクザム(ハロ)「オマエモナー」 ビクザムを部屋に残してパーツを探す為、部屋を出て物置に向かった。 色々と物色した後、両手いっぱいにパーツを持ち部屋に戻ろうとした。 するとロラン兄ちゃんが買い物から帰ってきた。 ロラン「アル、何してるの?」 アル「あ、ロラン兄ちゃん。ちょっとビクザム(ハロ)を改造しようかと思って…」 ロラン「ラクスさんからの頂き物でしょ?悪戯なんかしちゃいけませんよ」 アル「悪戯なんかじゃないよ!格好よくするんだよ!」 ロラン「…そうですか?じゃあ、そう言う事にしておきますか」 そう言ったロラン兄ちゃんは、少し考えてから僕の方に寄ってきた。 ロラン「…僕も手伝おうか?」 アル「一人でやるからいいよ」 ロラン「(心配だなぁ…)じゃあ、見るだけでも」 アル「しょうがないなぁ。見てるだけならいいよ!」 ロラン兄ちゃんは買ってきた物を片付けると僕と一緒に部屋に入った。 僕は床にパーツを並べてしばらく考える。 それをロラン兄ちゃんが上から覗き込む。 ロラン「どうするんですか?」 アル「今、考え中なの………腕……足…ブツブツ…」 ロラン「じっくり考えてくださいね」 58 名前:とある日常…投稿日:2007/11/12(月) 13 58 06 ID ??? 第四話「ロランの助力」 僕が考え事をしている傍で、ロラン兄ちゃんはコウ兄ちゃんの本棚から適当に本を取り出し、読書を開始した。 僕はしばらく考えた後、玩具箱からあるものを取り出す。 以前バーニーから買ってもらったMGのPジオングだ! 以前、バーニーと遊んだ時、僕がダダをこねて買ってもらった記念の宝物だ… 給料日前で生活が厳しかったバーニーが、お前が欲しいならと買ってくれた物だ。 Pジオングを手に悩んだ。 アル「ちょっともったいないけど…こいつの腕と足を使う!!」 本当にすまない、Pジオングよ……ジオン公国技術力の集大成であるお前をこんな形で失うとは…流石の僕も胸が痛む思いだよ… でも耐えてくれ…再びジオンの理想を掲げる為、新ビクザム成就の為、お前を利用する事を許してくれ!! 僕がそんな事を考えていると、ロラン兄ちゃんが本を床に置き、寄ってきた。 ロラン「それをどう使うの?」 僕は自信満々でロラン兄ちゃんに答える。 アル「この腕と足をビクザムの手足にする!」 ロラン「でもそれ、プラスチックでしょ?足とかハロ…じゃなかった。ビクザムの重さに耐えられるの?」 ロラン兄ちゃんの指摘は的確だ。 所詮Pジオングはプラモデル…多分重さに耐えられなくて壊れると思う。 ならどうする? 考える僕の隣でロラン兄ちゃんは僕の持ってきたパーツを品定めしている。 そして金属のステーを手に取り僕に見せる。 ロラン「廃材でステンとかアルミステーとか色々あるから、それをフレームにする?」 さすがロラン兄ちゃん! 控えめで的確な発言。大好きである! アル「ロラン兄ちゃん……僕と一緒に作る?」 ロラン「アルがいいなら…一緒に作ろうか!」 アル「うん!」 やっぱりロラン兄ちゃんはいいなぁ。 アムロ兄ちゃんとかカミーユ兄ちゃんは手伝うとか言って自分で全部完成させちゃったり、ジュドー兄ちゃんとガロード兄ちゃんは変なのに改造しちゃうし……僕にやらせてくれないんだもの。 このロラン兄ちゃんの控えめな優しさ… 他の兄さん達にも見習ってもらいたいものです。 59 名前:とある日常…投稿日:2007/11/12(月) 14 01 39 ID ??? 第五話「完成間近!」 そんなこんなで、いよいよ完成間近! ロラン兄ちゃんが手伝ってくれたおかげで作業がテキパキ進んでよかった。 問題のビクザムを支える足はロラン兄ちゃんの指示でフレームから補強が済みバッチリです。 全体的な強度アップの為、プラスチックの装甲を外し、アルミパネルを加工して装着! このビクザムの足は飾りじゃないんです! 歩くし、走る事もジャンプする事も出来ます!! しかも足の裏にローラーとモーターを入れて高速移動できます! それはもうドムのホバー走行の様に! もちろん腕も動きます! 指だって動くようにロラン兄ちゃんが頑張ってくれました! …どんな風に作ったかは難し過ぎて僕にはわからないけど… そして頭には指揮官用の角! イイ… 格好イイ… すごくいいです! 皆さんに見せられないのが残念です! 装備はザクマシンガンとザクシールドとヒートしないけど切れ味鋭いヒートホーク。 ザクシールドはステンパネルとアルミパネルを二枚重ねして中骨を入れて強度を確保。さらにトゲトゲも付けちゃいました。 ザクマシンガンはモデルガンを改良して完成。 本当はBB弾を使いたかったけど、ロラン兄さんに危ないので駄目って言われて断念しました。 もちろん後でロラン兄さんに内緒でBB弾のザクマシンガンを作る予定です…www ヒートしないけど切れ味鋭いヒートホークは、ヒイロ兄ちゃんのところに有ったナイフの地金となる特殊な鋼材板を加工して作りました。 この切れ味はロラン兄ちゃんには内緒ですwww 60 名前:とある日常…投稿日:2007/11/12(月) 14 03 38 ID ??? 第六話「ビクザム大地に立つ!」 ロラン「出来たね」 アル「うん!ロラン兄ちゃんのおかげだよ!!僕一人だったらここまでは無理だったかも…」 ロラン「そんなこと無いよ。ほとんどアルがやったんじゃないか。関心するよ」 アル「へへへへ」 ロラン兄ちゃんが僕の頭をなでる。なんか恥ずかしいな。 ロラン「さ、最後の仕上げです。配線を間違えると動かなくなっちゃうから気をつけてね」 アル「うん!!」 ビクザム(ハロ)のメインCPUと、改造したパーツの配線をロラン兄ちゃんの指示でつなげる。 最後の配線が繋がったるとビクザムが動き出した。 ビクザム「ハ…ロ……ハロ…ハロハロ」 アル「動いたー!!」 ロラン「やったね、アル!!」 いやぁ、本当に嬉しいよ。 作ったものが動き出す瞬間は感動だね。 苦労した甲斐があるってもんだ! ロラン「それじゃあアル。僕は夕食の支度あるからここの片付けをしておいてね」 アル「うん!わかってる!!ロラン兄ちゃんありがとう!!」 ロラン兄ちゃんは夕食の支度に台所へ戻っていく。 僕はさっさと片づけを終わらせてビクザムと戯れる。 その時はまさかあんな事が起きようとは夢にも思いませんでした。 61 名前:とある日常…投稿日:2007/11/12(月) 14 07 29 ID ??? 第七話「悲劇への序曲…ではない。その1」 コウ「ただいまー!」 ロラン「お帰りなさい!もう少しで夕食の出来ますから」 玄関から居間に移動するコウ。其処にはいつもの家族が居た。 コウ「ゆっくりでいいよ!あれ?アムロ兄さんとシロー兄さんは?」 キラ「二人とも仕事で遅くなるって。もしかしたら会社に泊まるかも…だって。ドモン兄さんは今朝から行方知れずです」 シーブック「ドモン兄さんは修行だぜ?レインさんと一緒に…なんの修行なんだか…」 ジュドー「あれ?コウ兄、買い物袋…それ何?」 コウ「ん?これか?フヘヘヘ、これか?」 皆の前で買い物袋を高く上げ見せびらかすコウ… ガロード「もったいぶらないで、見せろよ」 袋からひとつの箱を取り出した。 コウ「じゃーん!RCドム!!」 ジュドー「また無駄金を使って…」 コウ「なんだよ!別にいいじゃねーか!」 ガロード「そんな物買わないで自分で作ればいいじゃん」 ジュドー「そうそう。アルを見習ってさ」 コウ「アルを?なんか作ったのか?」 ガロード「ああ、格好よかったぜ!見た目はアレだけど、中々いい線いってたな」 ジュドー「確かに。俺的にあのセンスは頂けないが、熱意は伝わった」 コウ「なんだよそれ?」 ガロード「部屋に行ってみれば?カミーユ兄とウッソ居るから」 コウは階段を駆け上がり部屋に向かった。 部屋の前に立つと中から楽しげな声が聞こえる。 コウは一息付くと部屋の扉を開けた。 コウ「ただいま~」 ビクザム「オ帰リ、オ帰リ。コウ、オ帰リ!」 コウ「げっ!?何だそれ!!」 アル「お帰り!いいでしょ?進化したビクザムだよ!!」 ウッソ「アハハハ!お、お帰り!コウ兄さん、これ最高だよ!!」 カミーユ「機動性もいいし、本当すごいよ!」 ビクザム「月ハ出テイルカ」 コウ「アル、これお前が作ったのか?」 アル「うん!!そうだよ!」 コウ「凄い…てか、ハロの言語能力も以前よりはっきりしている」 アル「そりゃあもちろん!言語機能も三倍にアップだよ!…あれ?コウ兄ちゃん、後ろに隠してるの何?」 コウ「え?ああ、これか…じゃーん!RCドム!!」 62 名前:とある日常…投稿日:2007/11/12(月) 14 10 43 ID ??? 第八話「悲劇への序曲…ではない。その2」 ウッソ「コウ兄さん……それ、買ったんだ…」 カミーユ「また無駄金を使って…」 ビクザム「無駄ガネ~、無駄金!」 コウ「な、なんだよ!お前らまで!」 ウッソ「いや、アルの努力の結晶を見た後だと、どうでもいいって言うか…」 カミーユ「はっきり言って、呆れてるよ。どんな大枚叩いたかは分からないけど、玩具と自分の対象年齢を考えろよ!」 コウ「カミーユ…お前、たまにグサッと来る事言うな……でもな、こういった玩具は男の永遠の宝物なんだよ!」 カミーユ「そんな事を言っているから未だに彼女が出来ないんだよ…」 カミーユはやれやれといった表情で部屋を後にした。 コウ「うう…返す言葉が…」 ウッソ「カミーユ兄さんが言った事、気にしないほうがいいよ。コウ兄さんはコウ兄さんなんだから。今のままで十分…」 コウ「…今のまま彼女も出来ず、チェリーボーイでいろってか?」 ウッソ「そ、そんな事…言ってない!」 ウッソは猛ダッシュで部屋から逃げた。 ビクザム「チェリボーイ!チェリーボーイ!」 コウはやり場の無い怒りを胸に、買ってきたRCドムを抱いたままベットに寝転んだ。 RCドムの取り説を読んでいるとアルが近寄ってきた。 コウ「何だよ?」 アル「コウ兄ちゃん……それ」 コウ「?」 アル「それカッコイイね!!いいなぁ、RCのドムかぁ…高かったでしょ?三機集めてジェットストリームアタックとか出来るんじゃない?」 コウ「い、いやぁ。流石に三機集めるのはお金が無い…」 アル「コウ兄ちゃん、動かしてみてよ!」 コウ「お?おお…」 アルに急かされる様に、コウはドムの電源を入れリモコンを手にした。 コウ「いいか、アル……動かすぞ!」 アル「うん!」 カチッ ウイン…ウイィ~ン アル、コウ「動いたー!!」 ビクザム「アタリマエダー」 コウ「…なんかこいつ、さっきから五月蝿いなあ…」 RCドムは軽快な動きで床の上を走る。ドムを巧みな操縦で動かすコウ。 それをキラキラと目を輝かせながら見つめるアル。 そのアルに嫉妬したのか、RCドムがムカつくのか…ちょっとイラつきをみせるビクザムは、アルが作ったヒートしないけど切れ味鋭いヒートホークを持ち、ブンブンと素振りしている。 アル「ねえ、兄ちゃん!」 コウ「なんだ?」 アル「僕のビクザムとそのドム、対決しない?」 コウ「だ、駄目だよ!お前のハロが勝つに決まっている!」 アル「いや、戦いじゃなく、どっちが早いか駆けっこ競争!」 コウ「ああ、それだったらいいよ。ここじゃあ狭いから外でやろうか?」 アル「うん!」 ビクザム「…(ニヤリ)…」 63 名前:とある日常…投稿日:2007/11/12(月) 14 14 33 ID ??? 次回から新タイトルに変わります。 新タイトル「?」 第一話「何故か大事になる日常www」 お楽しみに。 なお、この物語は色んな意味でパラレル扱いで願います。 シンとシュウト居ないしね…www では、また後ほどに(^^ link_anchor plugin error 画像もしくは文字列を必ずどちらかを入力してください。このページにつけられたタグ G・グランプリ! アルフレッド・イズルハ ガンダム一家 長編
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「とある少女の幸せ計画(ハピネスプラン)その1」 7月30日13:30 セブンスミスト水着売り場 「うーいーはーるぅぅぅぅ!こっち、こっち!」 「なんですか?佐天さん!」 「どうこれ!初春にピッタリだよ!白井さんも真っ青な三角ビキニィィィィ!」 「なっ!無理です!無理。そんなの私が着れる訳ないじゃないですか!」 「じゃあ、こっちはどうじゃ!白のワンピース…………」 「そっ、それぐらいならまだ…………」 「っと見せかけて、後ろからだとビキニ紐とTバックしか見えないセクシーダイナマイツ!!」 「キャー!無理無理無理無理。そんなHな水着、絶対着れません」 「もったいない!これ着たらプールの男の視線は独り占めだと思うんだけどな──!」 「着ません!しません!思いません! 変な妄想しないで下さい……っていうか、今日は佐天さんの水着を買いに来たんでしょ!」 「まっ、そうなんだけどさ。初春に似合うやつを見つけちゃったから…………ついね」 「似合いませんから!着ませんから!!お願いですから、私で遊ばないで下さい!」 「ははっ、ごめん、ごめん」 「も──っ!佐天さんたら!知りません」 その時キャピキャピとはしゃぐ二人の女子中学生の横を一人の男子高校生が通り過ぎた。 周囲をチラ見しながら歩く姿は場所が場所だけに不審人物に見えなくもない。 その人物に気付いた初春飾利はその高校生に声を掛けた。 「あれっ?ひょっとして…………上条さんじゃないですか?」 そう呼びかけられた高校生、上条当麻はビクッと肩を震わせる。 実は今、上条はできたてホヤホヤの記憶喪失患者だったりする。 夏休み突入と同時に遭遇したとある事件のせいで、7月28日以前の自分がどんな人物で どんな生活をしていたのかというエピソード記憶を綺麗サッパリ失っていた。 しかも故あってそのことを隠し通す必要があり、ここ2日は無くした記憶を補うために、 知識として残っている名称や風景を頼りに学園都市中を歩き回っていたのだ。 ここがセブンスミストという店であることは知っている。 少し前ここで大きな爆発騒ぎがあったのも知っている。 しかしそれが実際に体験した知識なのか、それともニュースで見た知識なのかが判らない。 だから自分の知識と一致する風景が無いものかと確認して廻っていたのだ。 まさかこんな所で上条当麻の知り合いに会うとは思わなかった上条は恐る恐る振り返る。 そこには頭にたくさんの花飾りを付けた女子中学生がいた。 上条にはその少女の記憶はないが、どうやらその少女は上条当麻を知っているようだ。 にこやかな顔で話しかけてくる。 「上条さん。今日も妹さんとお買い物ですか?」 その問いかけに上条当麻は一瞬身を固くする。 (確か上条当麻に妹はいないはず…………どういうことだ?) 上条当麻は思考をフル回転させ、最も当たり障りのない返事を捻りだす。 「いや。上条さんだって一人で買い物に来ることぐらいあるんですよ」 「そりゃー、そうですねーっ」 「ねえ、ねえ、初春。この人誰?」 「この人は上条さんといって、私がグラビトン事件で御坂さんに助けてもらった時にその 場に一緒にいた人なんです」 「へーっ、そうなんですか。そうだ! じゃあその時どうやって御坂さんは爆弾から上条さん達を護ったんですか? 初春ったらその時目を瞑っててなんにも見てないって言うんですよ」 「えっ?(まずい、そんなことがあったのか…………)えーっと…………ゴメン。 実は俺も目を瞑っててよく憶えてないんだ」 「そうなんですか?残念」 「じゃあ、俺ちょっと急ぐから、それじゃあ。初春さんに…………えっーと」 「佐天涙子です」 「佐天さんも。それじゃまた」 そういって上条当麻はその場を逃げるように去っていった。 「なぁんか、ちょっと挙動不審なんだよねぇ」 「でも、ちょっとカッコ良さげな人だと思いません?」 「え──っ!?初春はあんなのが好みなの? どっからどう見ても普通でしょ。まあ中の上ってところね」 「あんなの…………って、佐天さん。見る目が厳しいんですね」 「そりゃそうよ。だって私の理想は一一一(ひとついはじめ)だもん!」 「とある少女の幸せ計画(ハピネスプラン)その2」 7月31日17:05 第6学区繁華街路上 「あ────っ!それ、あたしのバッグ!! 待てぇぇぇ!こンのひったくり野郎! これでも喰らえぇぇぇぇぇぇぇえええええ!!」 初春飾利と街を歩いていた佐天涙子は自動販売機からジュースを取り出そうとした隙に 肩に掛けていたバッグをひったくられてしまった。 気が付けば取り出したばかりの缶ジュースをひったくり犯めがけて投げつけていた。 缶ジュースの打撃力は予想外に高く、結果的にひったくり犯は盛大にすっ転んでいた。 幸運なことに通りがかった警備員(アンチスキル)がその場でひったくり犯を拘束し、 バッグも無事佐天涙子の元に戻ってきた。 こうしてひったくり事件はわずか20秒で無事に解決した。不幸な高校生のうめき声を残して。 「痛ぅ────────っ!」 「あのーっ、大丈夫ですか?後頭部に思いっきりコブできてますよ」 「まだちょっとズキズキするけど。まあ、なんとか」 「でも驚いたーっ。 あいつに投げた缶ジュースが外れた時、あたし悔しくて思わず『うがぁぁぁ!』って 叫んじゃったんですよ。 それに、それがひったくり犯の先を歩いていた人をノックアウトしちゃうし………… しかも、その人が上条さんだったなんて…………ビックリしちゃいましたよ。 でも倒れた上条さんにつまずいてひったくり犯が転んじゃった時は思わず笑っちゃいまいした。 まるでコントじゃないですか。大笑いですよね」 「あのーっ、佐天さん。 笑ってないで、まずは上条さんに謝った方がいいんじゃないですか?」 「ご、ごめんなさい。つい、はしゃいじゃって。 それに、すみませんでした。缶ジュースぶつけちゃって…………」 「もういいよ。ワザとじゃないんだし」 「…………えっ?怒んないんですか?」 「なんで?悪いのは佐天さんからバッグを引ったくった犯人だろ」 「そりゃあ、まあ、そうなんでしょうけど…………」 「結果としてみんなが幸せになったんだから、何の問題もねえじゃねえか」 (でも上条さんだけ不幸になってる気がするんですけど…………気付いてないのかな?) 「で、どうする?コイツは」 そういって上条は地面に転がっていた缶ジュースを拾い上げた。 「どうぞ、上条さんが飲んじゃって下さい。たんこぶ作っちゃったお詫びです」 「サンキュー。(でもコイツは炭酸系だから今開けるのはマズイよな)」 「(???)どうしたんですか?」 「いやなに、今ここで缶を開けて炭酸を顔に浴びるなんてお約束なネタを繰りだすほど 上条さんはバカじゃないってことですよ」 「あっ!ごめんなさい。新しいのを買ってきます」 「冗談だよ。コイツは下宿に帰ってから飲ませてもらうさ。ありがとな」 そういって右手に持った缶ジュースを目の前に持ち上げた途端、ボシュッと飲み口から 盛大に炭酸が噴き出し不幸にも上条の顔は一瞬で泡まみれになった。 どうやら先ほど地面に叩き付けられた衝撃で缶に亀裂が入っていたようだ。 「おわっちゃあぁぁぁぁぁ!」 「だっ、大丈夫ですか?」 「ああ、濡れたのは顔だけだからな。でも良かったよ。 もう少しで佐天さんにこんな危ないもんを押しつけちまうところだった」 「いえ、そんな………… (この人どうしてこんなに優しいんだろう? 他人の代わりに辛い目に遭ってるのに…………どうして笑顔でいられるんだろう? あたしは…………とても真似できないや)」 「とある少女の幸せ計画(ハピネスプラン)その3」 8月2日17:40 第7学区とあるスーパーマーケット その日、上条がスーパーマーケットでふと見かけた白梅の髪飾りを付けた少女につい声を 掛けてしまったのは特に理由があったからではない。 あえて言うなら、上条当麻のことを知らないこの少女は今の上条が安心して話ができる数 少ない人物だったからだろう。 「よっ!確か…………佐天さんだっけ」 「あっ、上条さん。こんちは」 「今日は初春さんと一緒じゃないのかい?」 「初春のヤツ、昨日の風紀委員(ジャッジメント)の仕事がきつかったみたいで、今日は ちょっと寝込んじゃってるんですよ。だから今日はあたしが夕飯をつくってあげるんです」 「へーっ、それで買い出しに来たのか?佐天さんは優しいんだな」 「いえ、そんなことありませんよ。 初春のヤツってなんか放っておけないキャラじゃないですか。護ってやりたい的な………… おっと、いけない。もうこんな時間。 じゃあ初春がお腹空かせてると思うのでお先に失礼します」 「ああ。気を付けてな」 スーパーマーケットを出た佐天涙子は通りに設置された大時計を見上げる。 時刻は17:45。見上げる夏空はまだ抜けるように青かった。 (初春のやつ、きっと今頃お腹空かせてるだろうな。 初春ん家まで10分、食事の準備に20分。初春!あと30分辛抱するんだぞ! あたし特製の海鮮雑炊食べさせてあげるからね。 今日はあたしが初春の世話をしてあげるからね。ドドーンとあたしに任せなさい。 身体だって拭いてあげるからね。……………………そうだ! 今日は絶好のチャンスかも……………………ふふふっ、 この前は停電のせいで仕損ねたけど、今日こそはあん時のセクハラの続きを………… あたしのくすぐりにどこまで耐えられるかな?う・い・は・る!?) 山賊のような笑みを浮かべ拳を握りしめるセクハラ女子中学生は少し注意力が散漫だった のだろう。 前から歩いてきた通行人とぶつかってしまった。 そして現実に戻った途端、佐天涙子は激しく後悔することになった。 最悪なことに相手はどこから見てもヤンキーにしか見えない高校生だった。 「てめえ!なにぶつかってんだよ!」 「ご、ごめんなさい」 「ごめんで済んだら警備員も風紀委員もいらねえんだよ!どう落とし前つけんだ!てめえ」 「本当にごめんなさい」 「口じゃどうとでも言えんだよ! ガキだからって『ごめん』で許して貰えると思ってんじゃねえだろうな! ちょっとこっちに来な!誠意の見せ方ってヤツを教えてやっからよ!」 「えっ、えっ!?」 不良にまくし立てられ、ただ身をすくめていた佐天涙子であったが、不良に手を掴まれ 路地に連れ込まれそうになりようやくわずかな抵抗をみせた。 しかし不良に掴まれた手にビリッと電気が走ったかと思うと佐天涙子の身体を激痛が駆け抜ける。 「かはっ!くうぅぅぅぅ」 肺の中の空気を吐き出し苦悶に顔をゆがめる佐天涙子を見て不良はニヤリと口元に下卑た 笑みを浮かべる。 そして佐天涙子の耳元に顔を近づけてニヤけた声で囁く。 「く、く、くっ、こう見えても俺はレベル2の発電能力者なんだぜ。 今みたいに痛い目にあいたくなきゃ、おとなしく付いて来な!」 このまま路地裏に連れ込まれてしまったら何をされるかわかったものではない。 お金を取られるだけならまだ幸せかもしれない。もっと酷い目に遭うかもしれない。 そう思った途端、佐天涙子の身体を恐怖が蹂躙する。 手をふりほどいて逃げ出したいのにガクガクと震えだした身体は言うことを聞いてくれない。 小刻みに首を横に振り抵抗の素振りをみせるものの女子中学生が男子高校生の力に抗える はずもなく、薄暗い路地がどんどん近づいてくる。 (ヤダ…………ヤダヤダヤダ…………こんなの嫌ぁぁぁああああ) 恐怖に顔を引きつらせ叫び声さえあげられなくなった佐天涙子は必死に祈る。 (助けて助けて助けて助けて…………お願い。神様!!) いくら必死に祈ったところで神様が助けてくれるはずはない。 事実、路地に連れ込まれる瞬間まで必死に祈り続けた佐天涙子に神様は来てくれなかった。 そう、絶望した佐天涙子に救いの手を差し伸べたのは神様ではなかった。 佐天涙子の手首を掴んでいた不良の手を引き剥がしたのは一人の男子高校生だった。 佐天涙子からは後ろ姿しか見えないはずなのに、それが誰なのか一瞬で判ってしまった。 そして無意識のうちに思い浮かんだ名前を呼んでいた。 「とある少女の幸せ計画(ハピネスプラン)その4」 「上条さん!!」 「お前、中学生相手にみっともねえ真似するんじゃねえよ」 「なんだ、テメエは?でしゃばんじゃねえ!俺はレベル2だぞ」 「そうかい?俺はレベル0だよ。っで、それがどうした!?」 「能力もねえくせにカッコつけると痛い目みるって言ってんだ!このレベル0がぁ!」 「気を付けて!そいつ発電能力…………」 佐天涙子が警告するより早く、不良は自分の手を掴んだ上条の右手に電撃をみまっていた。 いや、みまおうとした。それなのに1Vの電位も生じなかったことが不良を困惑させた。 キツネにつままれたような顔の不良に上条の言葉が追い打ちをかける。 「どうした?俺に痛い目をみせるんじゃねえのか?」 「うっ(なっ、なんだこいつ?レベル0って言ってたくせに。まさかホントは上位能力者なんじゃ?)」 「もうお終いか?じゃあ今度は俺の番だよな!?」 「えっ?(コイツ、ひょっとして俺なんかが手出ししちゃいけない相手だったんじゃ…………)」 「覚悟はいいな!?」 「ヒィィィッ!(ヤバイ。逃げなきゃ、絶対殺される)す、すんません。ひゃあぁぁーっ」 恐怖に駆られた不良はあられもない声を上げて路地奥へ転がるように逃げだした。 不良の姿が見えなくなり上条が振り返った時、佐天涙子は地面にペタンと座り込んでいた。 「大丈夫か?」 「いえ、そのーっ、ホッとしたら腰が抜けちゃって。あはっ、あははっ」 佐天涙子は自分の右手で頭を小突きつつおどけてみせるが、どれほど怖かったのかは上条 にも容易に想像できた。 「どう?佐天さん、立てそうかい?」 「まだ、ちょっと…………無理みたいです。ごめんなさい」 「そっか。じゃあ」 そう言って上条は佐天涙子の目の前にドカッとあぐらをかいて座り込んだ。 佐天涙子は上条がなぜそんなことするのかが判らずに目をパチクリさせる。 「どっ、どうしたんです?上条さん」 「なあに俺も少し疲れたから、ちょっと座って休憩しようかなってね」 「えっ?」 「丁度さっき買った缶ジュースにクッキーもあるからな。佐天さんもどう? まあ、俺みたいなのが傍にいちゃ迷惑かもしれないけど」 「そ、そんなことありません。 (さりげなく私を気遣ってくれてるんだよね。これってやっぱり。 こういうのってなんか……………………いいな)」 そうして上条と佐天涙子は歩道でささやかなお茶会を始めた。 たわいもない話をしているだけなのに佐天涙子にはとても楽しく思えた。 そんな佐天涙子がふと通りの大時計を見上げると時刻はもう18:30になっていた。 「やばーっ!もうこんな時間!」 佐天涙子がそう叫んで立ち上がるのを見て上条は微笑むとゆっくり立ち上がった。 「どうやら、もう大丈夫みたいだな」 「えっ?」 「脚だよ。脚」 そして佐天涙子は改めて気付く。怖い目に遭って腰が抜けてしまった自分のために上条が わざわざ付き合ってくれたこと、気分転換のためにジュースとクッキーをくれたこと、 そして自分が落ち着くまで話相手になってくれたことに。 「はい!もうすっかり元通りです。ご心配をお掛けしました」 「いいよ、別に。大した事じゃねえからさ。 それより急がないと!初春さんが下宿で待ってるんだろ」 「あっ、そうでした。ではお先に失礼します」 佐天涙子はペコリと頭を下げると駆けだしていった。 「今度は気をつけて帰るんだぞ!」 「はぁ────い!わかりましたぁ────っ!」 上条の声に振り返ると佐天涙子は大きく右手を振って答えた。 8月2日18:45 初春飾利の下宿 「佐天さん。遅いじゃないですか!私もうお腹ペコペコです」 「ゴメンゴメン。ちょっと色々あってさ。ところでさあ、初春」 「なんですか?」 「この前会った上条さんって…………ちょっとカッコ良かったよね」 「え──っ!?佐天さんこの前はそんなこと言ってませんよ」 「えっ?そうだっけ!?」 8月2日23:10 佐天涙子の下宿 潜り込んだ布団の中で佐天涙子は今日あった出来事を思い出していた。 (ちょっと怖い目にも遭ったけど、今日は良い日だったかもね。 明日も良いことがあるといいな。 さあもう寝よっと。おやすみなさい……………………上条さん…………) 無意識のうちに呟いていた名前に気付いた瞬間、佐天涙子は布団の中で顔を真っ赤にする。 しかし次の瞬間、佐天涙子は赤かった顔を今度は真っ青にして跳び起きた。 (ひょっとして、あたし…………上条さんに一言もお礼を言ってないんじゃ………… ど、どうしよう?)」 続く
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【初出】 禁書SS自作スレ>>952 ◇◇◇ ピーーーーーーーーー わぁぁぁわぁぁぁ グラウンドでは棒倒しが絶賛進行中だ 時折閃光やら漫画みたいに吹っ飛んでいく生徒も見える 「・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・」 「「・・・・・・・・・・」」 (誰か、誰かヘルプミー、この無言空間には上条さんは耐えれません) 沈黙に耐えかねて口を開こうとして 「「あのさ・・・」」 ハモった。 気まずい・・・なんというか気まずい、木陰で木にもたれ掛かり目の前にいる美琴になんとなく目を合わせずらくて チラチラと見ては罰があるそうに目を反らして、口笛を吹く。 「ちょっとアンタ」 ビクゥゥ!!と音速で身を反らし美琴の視線から逃れようとする。 (ああ、まずい、これはまずいですよ、なんだか知らないけどきっとご機嫌斜めなんですよー) 「怪我してるでしょ、見せてみなさいよ。」 上目遣いで顔は真っ赤になりやはりチラチラと見ては目をそらしながら常盤台中学のレベル5[超電磁砲]はそんなことを言ってきた。 はい?っと3秒ほど上条当麻の思考は停止した。 「怪我を見せろ、とおっしゃいましたか?美琴さん」 無言で左手を出す美琴、ここに手を置けということなのだろう。 「えーと・・・新しい拷問?」 「なわけあるかぁぁぁ!!」と満身創痍の上条の右頬に捻りの利いた右が叩き込まれた。 ◇◇◇
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TSスレまとめ トップページ 禁書板内に投下されたSSの内、【女性化】禁書キャラを性転換させてみるスレ【男性化】(TSスレ)に投下された SS(二次創作小説、二次小説)等はこちらへ格納されています。なお、「TSスレ」の対象作品はSSスレに準じます。 ご案内 TSスレ運営委員会からのお知らせです。 このスレは、常時ステルス仕様となっております。 いわば伏兵状態であり、脳の構造がTS向けに出来てない人がうかつに踏むと、精神が崩壊、発狂、撤退します。 【禁書TSは良いものなので、表の人間には秘密にしておこう……なんだよ】 次いで、TSスレ運営委員会名誉委員冥土返しからのお言葉です 【表の人にうっかり漏らした人には、もれなく私の性別転換実験の被検体になってもらいます。 ああ、必ずしも美女・美少女にはなれないから安心したたまえ】 連絡は以上です スレッド案内 現行スレhttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1229605591/(3スレ目) 過去スレhttp //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1137765797/(1スレ目) http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/movie/6947/1189680884/(2スレ目) 連載中の作品 とある世界の性別反転 『忘れられない思い出に』 長編まとめ 完結 天井奮闘記天井亜衣が主人公のSS 『とある上嬢の貞操騒動』 『花見日和に何を思う』 更新停止中 かげ☆とま ~とある影達の舞踏会~上嬢さん主体のSS 短編まとめ 炎の少女ステイル~マールボロは危険な香りステイル主体のSS 記念すべきTSスレ初作品 女性化したステイルが女性陣に弄られる話 ヒノ☆タンヒノタン主体SS 彼女の日常を描くお話 リレー小説TSスレ1-594の書き込んだ幻想が発達・進化したSS リレー小説チック CrazyAcademy ~蘇る番長伝説~ 1 2結標兄貴主体のSS TS建宮 とある『未元物質』の再出発 とある高校のバレンタイン & とある二人たちのホワイトデー インデックス(♀)・神裂(♀)×上嬢さん 『とある上嬢の日常とイベント』 『日常+非日常=?』 1 2 上記以外の短編・小ネタについては → こちら 単語集 単語集 投下ログ 1スレ目 2スレ目 3スレ目 ※投下ログ内のテキストをむやみに改訂することは、たとえ作者であってもご遠慮ください。 具体的にはページタイトルが「TS(スレッド番号)-(レス番号)」であるものです。 wikiを編集される方へ TSスレまとめ編集上の注意
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【初出】 禁書SS自作スレ>>365-369 みんなに紹介するから、と言って歩き出した言祝の後ろを、上条とサーシャは頭が回ってない状態のままついていく。軽く校内を案内するつもりもあるようで、言祝は何かある毎に立ち止まってサーシャに話しかけていた。その間、他校の制服を着た金髪美少女であるサーシャは少々どころかかなり目立ったが、横に上条がいるとわかると一転、「まあ上条だしな」という空気ができ追求されることはなかった。同学年だけでなく上級生まで同じ反応を示したのは、きっと年代の壁を越えて一致団結していることの証しだろう。幸か不幸か教師の誰かと鉢合わせすることもなく、三人は無事にある教室の前にたどり着いた。 「――って、一年七組(おれたち)の教室じゃねーか」 「そ。やっぱり持つべきものは身近な友達よねー。みんな快く承知してくれたのですよ」 「……、」 つまり被害は身内に限定されていたということか。安心すべきなのかどうなのか、上条は判断に迷う。 「でもさー言祝。今さらだけど、本気でサーシャにシンデレラやらせるつもりなのか? ウチの生徒でもない人間が主役を張るのはまずいと思うんだけど」 「何とでもなるって」 「どこから来るんだその自信! いくら監督でも出来ることと出来ないことがあるでしょーが! そしてサーシャ! お前がなんにも言わないから勝手にどんどこ話が進んでんだぞ!? いいのかそんな流されるままの人生で!」 上条は一歩下がった場所でぼーっとしている赤シスターを怒鳴りつけた。 手提げをぶらぶらさせていたサーシャはほんの少し考えるそぶりを見せ、 「確認一。私はトーマたちの演劇に役者として勧誘されていると判断してよいか」 「そうだけども、それは中庭にいるときに言っておくべきだった台詞だぞ」 なら、とサーシャは言祝の方を向いて、 「私見一。興味はある。私にできることであるなら参加してみたい」 「な――」 「そーこなくちゃ! 簡単ではないかもしれないけど、あなたなら大丈夫! 私に任せてくれれば一週間で素敵なお姫様にしてあげるわ!」 何故、という言葉は興奮した言祝の叫びにかき消されてしまったのだけど―― (『灰姫症候(シンデレラシンドローム)』のことはどーなるんだ?) 上条は思う。 『灰姫症候』 人から人へさまよう魔術、『零時迷子(ヌーンインデペンデンス)』を元に組み立てられたらしい新種の術式。 本来なら数回の移動でイメージが保てなくなり崩壊するはずの『零時迷子』を、誰もが知っている“とある物語”を媒介にすることで半永続化させたものらしい。 誰が、何の目的で作った魔術かはわからない。しかし問題なのは、それが今も学園都市の誰かの中に存在するということだ。 しかも魔術師の手に渡ってしまえば、容易に伝染病のような効果に変更して再放流することができるという。 そのような事態を未然に防ぐために、そして原因を究明するためにロシア成教とイギリス清教の両方から勅命を受けてやってきたのが彼女、サーシャ=クロイツェフである…………はずなのだが。 (これじゃあ、本当にただの学生活動じゃねーか) だんだん不安になってくる苦労人上条である。 それに気づいたのか、赤シスターは熱く語り続ける言祝から離れ、背伸びをして上条の耳元に口を寄せた。 「(説明一。問題はない。これは全て『灰姫症候』捜索のために必要なこと)」 「(はい? そう言われましても無学な上条さんにはアナタが学校生活をエンジョイしようとしているとしか見えないのですが)」 「(補足一。演目が『シンデレラ』だから。演劇を通して『灰姫症候』を誘い出せる可能性がある)」 「(……どゆこと?)」 いつまでも背伸びをさせておくのは申し訳ないので中腰になる。 「(補足二。『灰姫症候』は“童話『シンデレラ』に関する知識”をイメージの基盤に置くことで、素人の中でも構成が崩れないようにしたもの。ならば“『シンデレラ』という物語のイメージを操れれば、『灰姫症候』に干渉することができるのではないか”というのがインデックスのアイデア。問題はその手段だったのだが……演劇というのは存外に最適だったかもしれない。トーマに会いに来て幸運だった)」 「(うわー生まれて初めてかもしれないそんなこと言われたの。でもさ、それだと劇を見に来た人にしか効果なくないか? 捜索範囲は学園都市全域なんだろ?)」 「(解答一。元より『灰姫症候』の捜索メンバーは私だけではない。ブラザー土御門もそうであるし、他にも数名が何らかの手段で学園都市に入っているはず。私の役割はインデックスと共に捜索することであるから、彼女の知識から導き出された計画を実行することに問題はないと思うのだが)」 上条は身を起こし腕を組む。 言っていることはわかる。わかるんだけど………… 「おーいー? そろそろ入るよー?」 ドアの取っ手に手をかけた言祝が、首だけひねって呼んでくる。サーシャは上条より先に歩き出した。 「解答二。了解した」 「おもしろいしゃべりかただねーサーシャちゃん。かみやんくんと何ひそひそ話してたの?」 「解答三。大したことではない。今日の夕食の献立について」 「なんか深く考えるすごい意味になりそうな……そう言えば『トーマ』なんて下の名前で呼んでるくらいだもんねぇ?」 「私見二。友人がそう呼んでいるのでそれに倣っているだけなのだが」 「ほほう。三角関係というわけなのですね」 微妙な塩梅(あんばい)でかみ合っていない会話を続ける天然赤シスターとお気楽腹黒監督に置いてきぼりにされそうな上条だったが、 そんなことはどうでもいいくらい、気になっていることが一つあった。 (…………自分で気づいてんのかね。さっきの説明、妙に押しが強かったぞ) 上条は小さく“笑う”。 詰まる所、シンデレラ劇が『灰姫症候』の捜索に好都合だったとしても、実際に参加してまでどうこうするほどのものでもないはずだ。練習という手間暇、共演者という重荷、そんなものをわざわざ抱え込むメリットなんてない。 ないはずだ――魔術師には。 上条は思う。 拷問道具標準装備で、表情が読みづらい彼女だけど、好きなものややりたいことだってきっとあるのだろう。 比較的年齢の近い集団に飛び込んだことがきっかけで、そういった欲求が顔をだしたとしても不思議はない。 しかもそれがシンデレラをやってみたいってことだなんて――なんとも可愛らしいわがままじゃないか。 (ま、ちょっとは仕事の選り好みしたって罰は当たんねぇだろ。不都合が出るなら、その分は土御門にでも回しゃいい。一端覧祭は学生が楽しむためのイベントですってな。せっかく制服を着てるんだから、サーシャも楽しめばいいんだ) うんうん、とまるで父親か教師みたいに妙に嬉しい気持ちで微笑する上条当麻。 ――――――――――――――――――――――――その微笑が凍りつくまで0,5秒。 「「………………………………………………………………(怒)」」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。 言祝が開けたドアの向こう。スタンド使いも真っ青な闘気を無差別に撒き散らしている吹寄制理(おうじさま)と姫神秋沙(まほうつかい)がいらっしゃいました。 ◇ ◇ さて、三分後。 問答無用、とばかりに上条当麻は教室の中央に正座させられていた。その周りを五人の人間が囲んでいる。完全包囲というやつだった。 上条はおそるおそる口を開く。 「…………あの。客観的に常識的に考えてワタクシめも被害者の一人であるというのにこの扱いはなんなのでせう?」 「黙りなさい上条当麻。全ての責任が貴様にあることは明らかよだからそのまま日が暮れるまで反省していること」 一人目。吹寄制理が恐ろしく冷たく言い切った。教卓に立ち、まるで裁判官のように上条を見下ろしている。開廷直後に下された実刑判決に「被告人」上条は猛反発した。 「だって! 演劇の役者が足りなくなったのもそれで吹寄たちが強引に引っ張りこまれたのも俺のせいじゃねーでしょ!? こうなったら腹をくくってみんなでオスカー目指そうぜ!」 「とても良い言葉なのだけど。君は大きな勘違いをしている」 上条から見て左、のんびりした声に少量の怒気を含ませているのは二人目、姫神秋沙だった。座っている机と椅子を横向きにして上条に向けている。どうやら彼女の役割は「判事」らしい。 「どゆこった? 姫神」 「私達は。演劇をすることに不満があるわけではない。というか。むしろそれ自体は望むところ」 大覇星祭の時の負傷から完全回復したばかりの黒髪の巫女さんは、かねてからの憧れであった「魔法使い」にたとえ劇の役だとしてもなれることを喜んでいるようだった。 教卓の吹寄はちょっぴり口を尖らせて、 「……私はそうでもないんだけど。栞がどうしてもって言うから仕方なく」 「そやねー。吹寄さんは優しいお人やもんねー。でもボク思うんやけど、やっぱ吹寄やったら王子様より継母の方が性格的にぐばっ!?」 姫神の隣にいる三人目が超高速で投擲されたチョークを眉間に喰らい悲鳴を上げる。「判事側の証人」青髪ピアスは奈良の大仏みたいになったおでこをさすった。 「被告人」は何がなんだかさっぱりだ。 「あのさー。本気でわかんないんだけど、結局お前らは何で怒ってるわけ?」 「んーとやねー。手っ取り早く言うと」 青髪ピアスが手を挙げ、吹寄と姫神もそれに続き、三人で同じ一点を指差す。 異口同音に告げる言葉は、 「「「その子誰(やねん)ってこと」」」 彼らの示した先、上条から見て右方にいるのは、 「………………、」 何故自分が注目されているのか全くわかってない様子の「弁護士」サーシャ・クロイツェフだった。 その隣には「弁護士側の証人」言祝栞がニマニマしながら座っている。 あー、と上条は右手で顔を覆い、 「えーとこの人はですね、俺の知り合いの子で、たまたまウチの学校に見学に来てたところを言祝がスカウトしちまって」 「知り合いと認めたね。そうなるまでにどのような経緯があったのやら。裁判長。被告に無期懲役を求刑します」 「といいますかカミやん。ボクのいないところでロリ金髪しかも工具常備の大工さん属性持ち美少女とお知り合いになってるってどういうこと!? 裁判長! 無期懲役なんて甘っちょろいこと言っとらんとここは古式ゆかしい断頭台(ギロチン)の復活を提案いたします!!」 「妥当なところね。大道具とかけあってみましょう」 「なんだそのスピード裁判!? 判事と裁判長がグルって最悪じゃねーか! こんな司法取引も探偵パートもない裁判なんて認められません! せめて弁護側にも発言させてくださいな!」 最初は無視していたが、あまりに「被告人」がわめき続けたため、「裁判長」はいかにも渋々といった様子で、 「しょうがないわね。……サーシャ=クロイツェフさん、といったかしら。昨日も会った気がするんだけど」 「解答一。私も貴女のことは記憶している。それと、私のことはサーシャでいい」 「……どうも」 サーシャのしゃべり方に慣れないのか――あるいは性格にか――、吹寄はわずかに怯んでいた。が、すぐに真剣な顔に戻り、 「それで、肝心なことを聞くけど。――――本当に上条当麻に何もされてない?」 「おい吹寄!? それ全然関係ないだろってごっ!?」 裁判長の許可なく発言するなと言わんばかりの超速チョークが上条に炸裂し、沈黙させた。 サーシャはその様子をぼんやりと見ていたが、やがて何事もなかったかのように、 「解答二。協力は色々してもらっている。危険なことは今のところない」 「裁判長。この二人は今夜一緒に夕食を食べるそうでーす」 「言祝てめどばっ!?」 復活直後に再び撃沈。 「カーミやーん……」「上条君……」「上条……」 法廷(きょうしつ)の空気が一層凶悪なものに変わる。それはもうDIOの館くらいに。 青髪ピアスは殺意に満ちた目でにらんでくるし、姫神はなんだか嫉妬めいた瞳を向けてくるし、吹寄はそのどちらとも言えないような視線を突き刺してくる。 (うう。どうにもこうにもならん……不幸だー) 味方であったはずの「弁護士側の証人」にも裏切られ、もはや救いなしいっそこのまま楽にしてー! と叫びかけた上条当麻だったが、それを静かな声が制した。 「――提案一。この状況が私の存在によるものならば、私は演劇活動への参加表明を取り消す」 「…………え?」 突如立ち上がった「弁護士」の発言が。 呆気に取られた声を出したのは吹寄制理。しかし他の人間も彼女と全く同じ心境だった。 もちろん上条も。 「サーシャ……?」 「ちょ、ちょっと待ちなさいサーシャさ――サーシャ。あなたはそこの横暴監督とセクハラ少年に無理やり連れてこられたんじゃないの?」 せーちゃんひどーい、と口を突き出した言祝を、サーシャはちらりと見て、 「解答三。誘われたのは確か。しかし、私は自分の意思で参加を決めた。興味があったから。けれども、それが学友同士で仲違いする原因になるのなら、退くべきなのは私であると思う」 「…………う……」 吹寄が、なんとも苦い物を飲み込んだような顔になる。 それはそうだ。年下の女の子にリアルで「私のために争わないで」と言われてしまったのだから。 しかも、 「………………………………………………………………、」 口では止めると言っているサーシャの顔は、「本当はとってもとってもやりたいんです」と無言で訴えていた。そしてそれを、迷惑をかけて申し訳ないという思いで押し潰しているのまで見て取れる。 恐らく、いや確実に彼女は気づいていないだろう。自分がそんな表情をしていることを。貼り付けたような無表情を保てていると思ってるに違いない。 そして吹寄裁判長は、そんな一少女の不器用な願いを無下にできるほど非人情派ではなかった。 「あの……サーシャ? なんと言うかこれは、上条の日頃の行いのせいであって、決してあなたが悪いわけじゃないのよ?」 そうだそうだと相槌を打つ検事側。特に青髪ピアスは今にも奇声を上げてサーシャに抱きつきかねない勢いである。彼女の属性に不器用属性が加わった結果らしい。 「――だけど」 吹寄は顔を曇らせ、 「実際問題、サーシャを演劇班に迎え入れるのは難しいと思う。いくら監督のお墨付きっていっても、この学校のメインイベントの主役に他校の生徒をいきなり抜擢したら絶対に内外から反感を買うわ」 それでも冷静に物事を捉えてしまう辺り、彼女は良くも悪くも優秀な運営委員だった。 本当はこんなこと言いたくないのだろうが、役割を持つ者の責任として、吹寄は現実を突きつける。 「しかもあなたの着てる制服(それ)、近所の中学校のじゃない。ということはまだ十三か四、でしょ? 年齢(とし)も足りてないんじゃ、転入生ってゴリ押しすることもできない」 「――――だったら、新入生ならどう?」 ス、っと。 その声は豆腐に包丁を差し込むように全員の耳に入った。 視線が集まる。 声の主――「弁護士側の証人」は自信たっぷりに腕を組み足を絡め、 「この高校に進学を希望している生徒から一人、特別ゲストとして舞台に上がってもらうことにしました。選ばれた子はとても可愛らしい外国人の女の子でした。その子がシンデレラの役をやりたいと言うので、優しい先輩達は快く譲ってあげることにしました……とこういう筋書きよ。これならサーシャちゃんが堂々と主役やれる上に、ウチの高校の宣伝とイメージアップにもなる。一石二鳥なのですよ」 ニカッ、と笑った。 上条達は、戸惑うような感心するような、不思議な気持ちでその笑みを見た。 言葉も出ない。 まるで運命が配役(キャスト)を決めているかのように、不利な点さえも利用してステージを完成させていくその知略。 妥協なく、恐怖なく、目的達成のためにあらゆる手段を尽くすその度胸。 これが“監督”。 言祝栞。 「……でも。校外への言い訳はそれでいいとして。校内への対応はどうするの? 一年の独断で。そんなことしたら色々面倒なことになりそうだけど」 いち早く脳に血が流れ出したらしい姫神が尋ねた。 しかし言祝は困った様子も見せず、 「そっちのが簡単よ。というかもう終わってるし」 「終わってる。とは?」 「教室(ここ)に来る前に、私と、サーシャちゃんと、かみやんくんとで校内をあちこち練り歩いといたの。みんなならこの意味、わかるよね?」 吹寄と姫神と青髪ピアスが、あっ……となる。 そうだ。たとえどれだけ不可解なことが校内で起こったとしても、 それが可愛い女の子に関することで、 その隣に、とある少年がいたというのなら、 「「「何があったとしても上条(上条君)(カミやん)のせいにできる…………!!」」」 がばっと復活。 「待ったらんかーい!! いくらなんでもそりゃねーだろ!? とどのつまり俺を生贄に捧げてサーシャシンデレラを召喚するぜってことじゃねーか! こんな扱い俺の親父が知ったら今度こそ天使が降臨しちゃいますよ!? つーかてめーら三人さっきから息が揃いすぎなんだよ! トリオか、トリオなのか!?」 「流石ね栞。そんな巧妙な作戦思いつきもしなかったわ」 「にはは。このくらいお茶の子さいさいなのですよ」 「いやーでもやっぱりボクらの言祝監督やね」 「今年の名誉監督賞は。あなたのものに決まり」 「聞いてない! 聞いてらっしゃらない!! チョークすら飛んでこない!! これがスルーか、レールガンノミコト様の祟りなのか!? サーシャ弁護士! もうあなただけが頼り……って何を両手で胸を抱いてうっとりしてますかアナタ! そんなにシンデレラやりたかったんかい! そしてそのまま言祝達の輪の中へ行っちゃうの!? 待って、その『素敵な先輩後輩の図』に俺も混ぜてーーっ!!」 結局、上条の意見は何一つ通ることのないままその日の打ち合わせは終わり、 言祝栞から吹寄制理経由で運営委員に配役変更の旨が伝えられることになった。 「シンデレラ役 サーシャ=クロイツェフ(特別出演)」 提出された文書の最上段にはそんな文章が書かれていた。 Back Next
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『とある境界の直死の魔眼(3)』 そして、依頼主のコネにより「研究所所員」という形で正面ゲートを突破して、今に至る。 回想を終了し、横でまだ続いている式の言葉を聞き流しつつ、これからどうしようか・・・と考えていた幹也は、 前を走ってきた少女にぶつかった。 「おっと。」 ぶつかってよろめきながらも、自分よりも大きくよろめいた少女の方を支える。 「あ・・・、すいません。」 体勢を立て直した少女は、軽く頭を下げた。 ああ、いえ、と答えた幹也は、ふと少女の着ている制服に気づいた。 プリッツスカートに半そでのブラウスと袖なしセーター。 調査対象であるLV5を2人も抱える超名門女子校・常盤台中学の制服だった。 何とか情報を引き出せないかと思い、とりあえず話しかけてみた。 「どうしたの?そんなに急いで。」 「え?えっと・・・。」 少女は答えに詰まったように黙り込んだ。 不思議そうに少女の顔を見た幹也は、その時気づいた。 少女が『LV5を2人も抱える学校の生徒』なんてものじゃなく、正真正銘の『LV5』だったということに。 「えっと・・・その、ちょっとアクセサリーを集めに。」 少女、御坂美琴は、愛想笑いとともに答えた。 ★ そこは、科学が生んだバベルの塔。 入り口も出口もなく、ただ、1人の『人間』が永遠に住まい続ける、墓標のような遠坂じゃなかった塔。 そこに住まう『人間』は、決して破れない硬質のビーカーの中に、逆さで佇み続ける。 男のように女のように、大人のように子どものように、聖人のように囚人のように。 『人間』アレイスター=クロウリーは、ビーカーの前に立つ人間に向かって笑った。 「私の命通りに動いてくれたか、土御門。」 対するアロハシャツの青年、土御門元春は、無感情な顔でうなずいた。 「お前の言った通り、教会の中のタカ派を動かして蒼崎橙子にLV5の能力の調査を依頼させた。お前の想定通り、 両儀式と他1名が研究所所員を装い侵入してきた。」 正面ゲートで撮られた、黒髪の少女と青年の写真を見せる。 アレイスターは、満足そうな笑みを浮かべた。 両者口を開かず、場に沈黙が訪れる。 「・・・アレイスター、お前は何を考えている?」 沈黙を破ったのは土御門だった。 「“幻想殺し”に“吸血殺し”、お次は“直死の魔眼”か。おまけにこちらの能力者の情報を 与えるような真似をして・・・いつからお前は敵に塩を送るような人間になった?」 アレイスターは、変わらずビーカーに浮いて笑みを浮かべていた。 その笑みが、より深まる。 「『手順』のためならば、私は敵に塩も送る。どの道塩は、単なる材料の1つに過ぎない。賢者の石ならばいざ知らず、 塩があるからと言って、錬金術師が真理に至れるわけではない。塩や硫黄や水銀、それ単体に意味は無い。正しい知識があってこそ、 それらは初めて意味を為す。所詮は、そういうことだ。『手順』を省略できるのならば、 塩などいくら撒いたところで痛くはない。」 「・・・・・・・・。」 黙る土御門を前にアレイスターは詠うように、 「空想は具現化する。幻想は殺される。全ての死を視る少女は果たして、幻想殺しに何を視るのだろうか、ね。」
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22スレ目の短編集 ________________ ソーサ(14-457)氏 ヒーローと超電磁砲は… コスモス(22-047)氏 if 指輪 物語 風花(19-114)氏 You look like a sweet cake. ぺろすけ(22-096)氏 (無題) 22-103氏 とある野球の上条美琴(バッテリー) くまのこ(17-598)氏 ねむねむタイム Doruusa(22-259)氏 空箱 一哉◆F/bQYgopwk(21-497)氏 上条当麻の入院 くまのこ(17-598)氏 緊急ドッキリ企画 「あの二人が付き合い始めました」 サッド(22-344)氏 とある彼女と上条当麻 サッド(22-344)氏 とある彼女と上条当麻・後日談 くまのこ(17-598)氏 上琴の初詣にありがちなこと ツキサカ(15-321)氏 新年早々不幸?な二人 くまのこ(17-598)氏 第八.五章 次の喧嘩を始める前に コスモス(22-047)氏 恋する乙女の報告書 くまのこ(17-598)氏 とある世にもな奇妙物語 コスモス(22-047)氏 とある乙女達の乙女達による乙女達の戦い 虚無(22-525)氏 千切れたストラップ くまのこ(17-598)氏 とある世にもな舞台裏話 大和(22-574)氏 エメラルド 虚無(22-525)氏 初恋の香り くまのこ(17-598)氏 とある世にもな後日談義 さわわ(22-733)氏 とある男女の三角関係 ダニエル(19-956)氏 上条さんのアルバイト 看護師バージョン コスモス(22-047)氏 2G(ゲームと現実)で叶える夢 くまのこ(17-598)氏 夢のような一週間 虚無(22-525)氏 バレンタイン くまのこ(17-598)氏 White Message ▲
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「とある少女の白馬の騎士(ホワイトナイト)その1」 (どうして、どうしてこんなことに…………) そう後悔する少女の顔色は蒼白であった。 そして呼吸をすることさえ難しいほど身体は強張り身動きするのもままならない。 それなのにガチガチと鳴る奥歯とガタガタと震える膝は収まるどころか先ほどより一層 激しくなっている。 (助けて、助けて、助けて、助けて、助けて……………………) 心の中でいくら叫んでも無駄なのは判っている。 いっそ恥も外聞も棄てて大声で「キャ───────!」と叫んだ方がまだマシかもしれない。 しかし少女は今、声の出し方すら判らないほどひどく混乱していた。 本当なら今頃他校の友人達と待ち合わせのショッピングモールでおしゃべりをしているハズだった。 (それなのにどうして私はこんな路地裏の袋小路にいるの?) 少女は5分前の自分の軽率な行為を後悔した。 そもそもレポートの資料集めに手間取り、繁華街に向かうバスに乗り遅れたのがいけなかった。 最寄りのバス停に降り立ったのは待ち合わせ時刻の僅か3分前であった。 そこから集合場所のショッピングモールまでは直線距離でわずか30mであるが、それは 目の前のビルを飛び越えることができたらの話である。 テレポーターでもない少女がそこに行くにはこのブロックをぐるりと回り込むしかなく、 少女の足では待ち合わせ時刻にはとても間に合いそうになかった。 (どうしましょう。これでは完全に遅刻ですわ) 少女がそう思った時、普段なら気にも留めない細い路地が目に入った。 ビルに挟まれた路地は少し薄暗く3人が横になるのが精一杯の道幅しかない。 普段の少女であれば足を踏み入れることなど絶対になかっただろう。 路地の入り口まで来たものの少し躊躇っていた少女であったが、ふと路地の奥から聞こえて きた車の行き交うかすかな騒音が少女の背中を押してしまった。 (きっとこの路地は向こうの大通りまで続いているのですわ。 ちょっと薄暗いですけど30mも無いはずですから早足で駆け抜ければ大丈夫ですわ。 良かった。これで約束の時間に間に合いますわ) そして少女は早足で路地に入っていった。 久しぶりに会う友人達との楽しい一時が待っているショッピングモールに向けて。 しかし、5分経っても少女はその路地から出てこなかった。 路地に入った少女が10m進むとT字路に突き当たった。 左右を見渡すと右に曲がった路地の10mほど先にある横道が少し明るくなっていた。 薄暗い路地の中で少し不安になっていた少女はようやく一安心し横道に向けて早足で 駆けだした。 しかし横道まであと1mというところで少女は急に立ち止まってしまう。 少女が曲がるべき横道から突然二つの人影が飛び出してきたからだ。 10代後半と思われる男達の服装と目つきは彼らの粗暴さを端的に表していた。 そして世間の事情に疎いその少女にもすぐに判ってしまった。 自分がどれだけ軽率な行動をしてしまったのかを。 「あの、すみません。そこを通して頂けますか?」 少女は男達と目を合わせずにそう言うと汗がにじむ掌をギュッと握りしめ再び歩き始めた。 意外にも少女は男達に邪魔されることも冷やかされることもなく二人の間をすり抜けることができた。 少女がホッと胸を撫で下ろした瞬間、背後の男がいきなり少女の肩をガシッと掴んできた。 「ひッ!」 緊張を解いた瞬間に不意を突かれた少女は思わず小さな悲鳴漏らしてしまった。 その声を聞いた男達は顔を見合わせると粗暴な顔に下卑た薄ら笑いを浮かべるのだった。 「とある少女の白馬の騎士(ホワイトナイト)その2」 「よお。ねえちゃん。その制服。あんた常盤台なんだろ。 ってことは能力者なんだよなあ。しかもレベル3以上の。 いくらレベル3でもこんな所を一人で歩くなんて物騒だぜ。 最近この辺りじゃちょくちょくスキルアウトが『能力者狩り』してるらしいぜ。 気ぃ付けな。特にねえちゃんみたいに可愛い女の子はよお」 その声に含まれる下卑た響きは少女を一層強張らせた。 一瞬でも緊張を解いたのがいけなかった。 恐怖が少女の心臓を鷲掴みにし少女から冷静さを奪っていった。 それでも少女は最後の勇気を振り絞り動揺を悟られないように平静を装ってみせた。 「そ、そうですか。これからは気を付けます。ではごきげんよう」 「これからは気を付けるだなんて。 ひゃっひゃっひゃっ!ねえちゃん、悠長なこと言ってるねえ」 「……………………」 「ところで能力をコントロールするのも大変なんだって? 動揺して演算に集中できなくなるだけで能力が使えなくなったりするんだってなあ?」 「そ、その手を放して頂けますか?」 「ねえちゃんが能力を使って引き剥がしたらどうだい? 俺達はたったの4人だぜ。しかも全員正真正銘のレベル0なんだぜ」 少女はその時になって自分が駆け抜けようとしている横道にも2人の男が居て道を塞いで いることに気付いた。 先ほど男達が何もしなかったのはみすみす罠に入りにきた獲物を逃さないためだったのだ。 そのことを理解した少女は目の前が真っ暗になった。 彼らは自分たちを『能力者狩り』をしているスキルアウトだとほのめかしている。 4人の男達に囲まれもはや振り絞る勇気すらなくなった少女の背中を冷たい汗が一筋流れ落ちた。 そして少女は男達に塞がれていない目の前の通路へ駆けだしてしまった。 その先が袋小路だとも知らずに。 目の前に壁があった。右も左も行き止まりだ。その事実が少女の心臓を締め付けた。 少女が後ろを振り返るとさっきの男達がゆっくり歩いて来るのが見える。 (落ち着くのよ。落ち着けば能力だって使えるのですから) しかしそう思えば思うほど思考はますます空回りしてしまう。 まともに呼吸すらできないほど混乱してしまった少女は能力どころか通常の思考力さえ失っていた。 彼らのニヤついた顔はきっと少女が混乱して能力を使えないことを見抜いたからだろう。 少女を見る目は能力への畏怖をもった目から獲物を見下すハイエナの目に変わっていた。 その目を見た瞬間、少女は自分が今からこの男達に何をされるのかが判ってしまった。 同時に吐き気を催すほどの嫌悪感が身体の奥からこみ上げてくる。 (どうして、どうしてこんなことに…………) そう後悔する少女の顔色は蒼白であった。 そして呼吸をすることさえ難しいほど身体は強張り身動きするのもままならない。 それなのにガチガチと鳴る奥歯とガタガタと震える膝は一向に収まるどころか先ほどより一層激しくなっている。 (助けて、助けて、助けて、助けて、助けて……………………) 震える膝はとうとう少女自身すら支えることができなくなってしまった。 そして少女のできることは両手で顔を隠しこの酷い現実から目を逸らすことだけになった。 そんなことしても何の役にも立たないことは判っている。 でも少女にできることはもはや祈ることしかなかった。 (お願い。来ないで、来ないで、来ないで、来ないで、来ないで……………………) しかし必死に祈る少女の願いも空しくとうとうその左肩に男の右手がかかったのだった。 「とある少女の白馬の騎士(ホワイトナイト)その3」 「おい!大丈夫か!」 自分の望まない現実から目を逸らそうと必死だった少女はその問い掛けが自分に向けられ たものであることになかなか気付かなかった。 「おい!しっかりしろ!」 その言葉に少女はようやく顔を覆っていた両手を外し固く瞑っていたまぶたを少しだけ 開くことができた。 少女の目に映ったのは先ほどの粗暴な男達とは違う高校生らしき制服を着た少年だった。 そして心配そうに自分をのぞき込んでいるツンツンした短い黒髪の少年の後ろに4人の男 達が倒れているのが見えた。 「俺の言葉がわかるか!おい」 少女は少年に肩を強く揺すられてようやく自分は助かったのだと知った。 緊張の糸が切れた瞬間、両目から涙が溢れ出した少女は声にならない声をあげて泣き出してしまった。 「わっ!悪りぃ!ちょっと強く揺すり過ぎちまったか?」 ヒックヒックと泣き続ける少女はオロオロしだした少年に(貴方のせいではありません) と伝えたかった。 しかし嗚咽が止まらない少女はわずかに首を横に振ることしかできなかった。 少女の意図が伝わったのか少年は少し安心したようだ。 そして優しく少女に問いかける。 「立てるか?」 そう言われた少女は立ち上がろうとしたが弛緩した脚は全く動いてくれなかった。 仕方がないので首を大きく横に振った。 「そっか。じゃあ、俺が抱えて行くけど、それでも良いか?」 少し戸惑った少女だが今度はコクリと頷いた。 すると少年は少女を優しく抱きかかえる。俗に言うお姫様抱っこだ。 一方抱きかかえられた少女はその頬を朱色に染めていく。 (ど、どうしましょう。 お父親さま以外の男性に初めて抱きかかえられてしまいました………… でも、どうしてでしょう? この方の腕の中にいるととても安らいだ気持ちになれます。 きっと私は生涯忘れないでしょう。この腕の力強さと暖かさは…………) 少女は少年に抱きかかえられながらそんな風にボンヤリと考えていた。 大通りが近づき路地が明るくなってくるとようやく少年の顔をはっきり見ることができた。 すると少女は先ほどとは違った意味で心臓の鼓動が早くなるのを感じた。 身体の芯が熱く締め付けられるのに、それは何故だかとても心地良かった。 (出会ってまだ2分も経っていないのに私には判ります。 この出会いはきっと私にとって一生忘れられない大切な思い出になるはず。 ひょっとして…………これが『運命の出会い』というものなのでしょうか? …………そうですわ。きっとそうに違いありませんわ。 赤い糸で結ばれた私達はこれをきっかけにおつきあいを始めるのですわ。 どうしましょう。まだお名前もお伺いしていないのに………… そして私の16歳の誕生日にプロポーズをされるのですわ。 そして顔を赤らめながら頷いた私を優しく抱き寄せてキスしてくださいますの。 そして6月の晴れ渡った日曜日に海を見下ろすチャペルでウェディン…………) 僅か20秒の間に『白馬の王子様を夢見る思春期の少女』特有の空想にどっぷり浸かった 少女であったが、その空想は少年の声に断ち切られてしまった。 「さあ、大通りに着いたぜ。ここまで来たらもう安心だ。どうだ?自分で歩けそうか?」 空想から帰還した少女の目の前には青い海ではなく先ほどの大通りが広がっていた。 少女はもう少しこのままでいたかった。 あの薄暗かった路地でさえ今ではもっと長ければ良かったのにとも思ってしまう。 少女は少し名残惜しそうに彼に頷いて見せた。 自分の脚で立った少女に少年は優しく微笑みかけた。 「どうやら大丈夫みたいだな。じゃあな。これからは気を付けるんだぞ」 (えっ、えーっ、もう行ってしまわれるのですか? まだ貴方のお名前さえお伺いしていないのに…………って、 …………………………………………あれ? それどころかひょっとして私って一言のお礼すら申し上げていないんじゃ。 ま、待って、……………………)待って下さい!」 少女はやっとの思いで一言だけ絞り出すことができた。 ただようやく絞り出したその声は少しうわずっていた。 少女はそのことが少し恥ずかしかったが、少女の呼びかけに応えて少年が振り返ってくれ たことがそれ以上に嬉しかった。 「とある少女の白馬の騎士(ホワイトナイト)その4」 「ん?どうかしたのか?」 「あ、あの、あのー、…………あ、ありがとうございました」 「いいよ。別に礼なんて。じゃあな」 「いえ、あのっ、そのー、お待ちになって下さい」 少女は立ち去ろうとする男性を追いかけようとしたが、脚がもつれてよろめいてしまう。 前のめりに傾く体勢を立て直そうとしたが肝心の脚がいうことを聞いてくれない。 そうしている内に目の前の地面がどんどん近づいてくる。 地面に顔を打ち付け無様に転がる数秒後の自分の姿を想像し少女は死ぬ程恥ずかしくなった。 しかし少女の顔がそれ以上アスファルトに近づくことはなかった。 少年がとっさに差し出した右腕が少女の身体を下から支えたため、少女は顔面強打という 不幸な結末を回避することができた。 再び少年に助けられたことを知り少女はホッと胸を撫で下ろしたが、その時になって少年 が硬直したまま先ほどから身動き一つしていないことに気付く。 不振に思った少女が見上げた少年の顔はなぜか真っ赤に染まっていた。 そして気付く。偶然にも自分の左胸が少年の右掌の真上に落ちていたことを。 そう、少年は右掌の中にすっぽり収まった少女の膨らみに気付いていた。 しかし急に手を離して少女が転倒すれば非人間のレッテルを、逆に少女を起こそうとして 右手が少しでも動けばセクハラ大魔王のレッテルを貼られることを過去の経験から知っていた。 だから身動きすることができなかったのだ。 もっとも発育途上とはいえ少女の胸の膨らみは制服越しにもはっきりと感じられ、その 柔らかさに少年の思考がパンク寸前だったことも大きな一因であったのも事実だ。 顔を真っ赤にして少年から身を離した少女は自分の左胸に自分の左手をあててみた。 掌には心臓の高鳴る鼓動だけでなくまだ胸に残る少年の掌の温もりも感じることができる。 少女は恥ずかしさを感じながらも胸を触られたことを嫌だと感じない自分が不思議だった。 そんな自分が恥ずかしくて少年の顔を直視できなくなった少女は真っ赤な顔を伏せてしまった。 一方、少年はそれを自分のセクハラのせいだと思いこんだのだろう。 すぐに少女に両手を合わせて謝った。 「ゴメン。嫌な思いさせちまって。でも悪気はなかったんだ。信じてくれ」 謝る少年の姿は少女を逆に困惑させてしまった。 焦った少女はつい心の中で思っていたことを口走ってしまう。 「いっ、嫌じゃありません!」 「……………………へっ?」 今何を言われたのか理解できなかった少年と自分が何を言ってしまったのか判らなかった 少女は互いに言葉を詰まらせてしまった。 そして少女は赤い顔をさらに真っ赤に染め上げていく。 「あっ!い、いえ、そうではなくて、えーっと……………………そう! 今のはただの事故です。貴方が気に病むことなど何もありませんわ」 「そう言って貰えると助かる。ゴメン」 「それより、こちらこそありがとうございました。二度も助けて頂いて」 「そんなことはいいって。それよりさっきはどうしたんだ?」 「あっ、脚がもつれてしまいまして。 そのせいでご迷惑をお掛けしてしまいました。申し訳ありません」 「そっか。……………………そうだったな。 あんな怖い目にあったばかりだもんな。 そんな女の子をすぐに放り出そうとした俺が非道かったな。ゴメン」 「そんな、貴方は少しも悪くありません。 ………………………………………… そのっ、も、もし、…………もし、よろしければもう少し一緒に居て頂けませんか? ご迷惑かもしれませんがお願いします」 ペコリと頭を下げる少女の可愛らしい仕草に少年はニッコリ微笑んで応えた。 「とある少女の白馬の騎士(ホワイトナイト)その5」 「ああ、俺なんかで良いなら、おやすいご用だ。それじゃあ、そこのベンチに座ろうか?」 「はっ、はい!ありがとうございます」 ベンチに少年と並んで座る少女は時々少年の顔を見上げては頬を桜色に染めていく。 「あのー、わたくし常盤台中学1年の『益海清花(ますみさやか)』と申します。 先ほどは危ない所を助けて頂き、本当にありがとうございました」 「そんなことは気にしなくてもいいさ」 「いいえ!貴方が居られなかったら今頃私はどんな酷い目に遭っていたか………… 思い出すだけでも身体が震えだしそうな気がします」 そういうと少女は両手で自分の両肩を抱きしめた。 先ほどまでは少年と一緒にいられることが嬉しくて忘れていたが、もし少年が助けてくれ なければ今頃少女は心にも身体にも一生消えない傷を負っていたハズだ。 そのあり得た不幸な未来を想像すると本当に身体の震えが止まらなくなったのだ。 少年は突然震えだした少女を落ち着けようと左手を少女の左肩にそっとまわした。 少年の左手の温もりは芯まで冷えきっていた少女の身体と心を瞬く間に癒していく。 まるで魔法のように自分を癒してくれる少年を潤んだ瞳で見上げた少女はその瞳を閉じる と少年に寄り添うようにそっとしなだれかかったのだった。 少女の震えがようやく収まったことに気付き一安心した少年だったが、その状況がどこか ら見てもラブラブカップルにしか見えないことには全く気付いていなかった。 「そういえば、どうして貴方はあそこに居合わせたのですか?」 「偶然だよ。 実は半月程前からちょっとおっかない奴につきまとわれるようになっちゃってさ。 今日も追いかけてくるそいつを撒くためにあの路地へ逃げ込んだら男達に絡まれている 君を見かけたって訳さ」 「でも粗暴な殿方を4人も倒された貴方がお逃げになるだなんて、その方は一体何者なのですの?」 「ははっ、あはははは。 いやぁ、俺はそんなに強くないさ。3対1なら迷わず逃げだす程度だよ。 今日はたまたま4人とも俺に背中を向けていたからな。 少々卑怯だったけど後ろからガツンとやらせて貰ったのさ」 少年は簡単そうに言ったが、少女が改めて少年を見ると制服についた汚れやあちこちに できた擦り傷、そして少し赤く腫れている左頬がそう簡単ではなかったことを物語っている。 「あの、もしよろしければ貴方のお名前をお教え頂けますか?」 「ああ、そうか。まだ名乗ってなかったな。俺はかみ…………」 「あっ、いたいた!今日こそは逃がさないわよ!」 「げっ!ビリビリ。ごめん俺ちょっと急ぐから。じゃあな気を付けて帰るんだぞ!」 「あっ、ちょっと待って下さい。まだお名前を…………」 「逃がさないって言ってるでしょうがああああぁぁぁぁぁぁ!」 突然猛ダッシュをした少年を呼び止めようとした少女の声はそれより大きな怒声にかき 消されてしまった。 その声の主に視線を向けた瞬間、少女の前を眩い閃光と耳をつんざく轟音が駆け抜けた。 それは学園都市第3位、常盤台中学が誇るレベル5御坂美琴が繰り出した雷撃の槍であった。 少女はその迫力に目を白黒させる。 さらに少女を驚かせたのはその電撃の槍が直撃したはずの少年が何事もなかったかのよう に再び走り始めたことだ。 (御坂様の雷撃の槍を受ければ普通の人間はひとたまりもありませんわ。 それなのにあの方は右手の一振りで防いでしまうなんて…………す、素敵ですわ!) その少年とそれを追いかける御坂美琴が交差点を曲がった時、少女は少年の名前を聞き そびれたことに気が付いた。 (はあーっ、 結局あの方のお名前をお聞きすることはできませんでしたわ。どうしましょう? そうだ! あの方はどうやら御坂様とお知り合いのようでしたから明日思い切って御坂様にお尋ね することにしましょう) こうしてとある高校生が28本目のフラグを立てたそうです。 そのフラグ数が5桁に達するのはそれからわずか一ヶ月後のことであるが、それはまた別のお話。 そして御坂美琴の悩みの種が一つ増えるは翌日の話であった。